マザーグースは、イギリスでは「ナーサリー・ライム」と言われ、伝承童謡として親しまれてきたものです。リズミカルで、覚えやすいメロディ、子供ばかりか大人までもがパブで歌い楽しんだようです。内容も子供に言葉を覚えさせる数え歌から、子守唄、当時の事件を皮肉った内容だったりと、バラエティ豊かです。リズムよく歌い、子供たちを遊ばせ、寝かしながら、大人たちはその秘められた意味を楽しんだのかもしれません。
楽しい歌の裏には??
面白い歌をいくつかご紹介します。
「ハンプティ・タンブティ」歌詞はこうなっています。
Humpty Dumpty sat on a wall,
Humpty Dumpty had a great fall.
All the King's horses, and all the King's men,
Couldn't put Humpty Dumpty together again.
ハンプティ・ダンプティ塀の上に座った
ハンプティ・ダンプティハデに落っこちた
王様の馬や家来を全部使っても
ハンプティを元には戻せなかった
(加藤リツ子訳)
なぞなぞ歌で正解は「卵」といった節もありますが、王位まで上り詰めたリチャードIII世がボズワーズ戦に敗れ戦死する出来事を描いたものという説もあります。
マザーグースの研究者の中には、「幼児がこのハンプティに自己投影して、ストレスを発散している」と分析している方もいます。
「ロンドン橋落ちた」も人柱の事をほのめかす内容だったり、「リング・ア・リング・オー・ローゼズ」は、ペストの流行で末期症状を例えたものと言われています。日本の童謡でも「カゴメカゴメ」や「とうりゃんせ」なども内容をじっくり読むと「怖い」ものも少なくありません。
もう一つ面白い歌を紹介します。
Three wise men of Gotham
Went to sea in a bowl;
Had the bowl been stronger
My tale had been longer.
ゴッサムの3人の賢人
お椀に乗って海へ出た
お椀がもっと頑丈だったら
話も もっと長かったのに
(加藤リツ子訳)
ゴッサム村とは実在する村です。これは、村が王様の通る大通りになってしまうのがいやで村民がみんな頭がおかしいという思わせる行動をとったという話の中の一説が歌になったようです。
誰でも楽しめるマザーグース!
今ではイギリス文学として教材として取り上げている大学も少なくないほど、学術的にも深いマザーグース。リズムを楽しんだり、詩の裏の意味を調べて楽しんだり、言葉遊びを楽しんだりと、様々な方角から楽しめます。
このHPでは、曲が決まり次第曲目リストを掲示していく予定ですので、予習してくるとより楽しめるかもしれません。